他士業と比べてなぜ行政書士のWEB集客は難しいのか?

〜見えないハードルと、突破するための視点〜

インターネットが当たり前になった今、WEBを使った集客は士業にとって不可欠な戦略の一つです。しかし、弁護士・税理士・社労士・司法書士など、他の士業と比べて、行政書士がWEBで成果を出すには“ひと工夫”以上の工夫が必要です。

「とりあえずサイトを作っておけば問い合わせが来るだろう」と考えていると、ほぼ間違いなく集客に失敗します。

では、なぜ行政書士のWEB集客は難しいのか?
その背景には、業務の性質・市場の特徴・ユーザー心理といった複数の要因が複雑に絡んでいます。

取扱業務の種類が多すぎて「専門性」が伝わりづらい

行政書士が取り扱える業務は、15000種類以上あるとも言われます。

たとえば―

  • 相続・遺言・家族信託
  • 建設業や産廃業などの各種許認可
  • 自動車登録、車庫証明
  • ビザ・帰化申請(入管業務)
  • 補助金・融資サポート
  • 風営法や深夜酒類提供届出
  • 内容証明や契約書作成

これらをすべて「できる」と謳った場合、訪問者には逆に「何が専門なのかわからない」「この人に頼んで大丈夫かな?」という不安を与えてしまいます。

多機能な反面、専門性が伝わらず、「どこにでもある行政書士事務所」の印象になってしまいがちです。

競合が非常に多く、価格競争になりやすい

行政書士は、司法試験や会計士試験と比較すると参入障壁がやや低く、開業者数も多いため、都市部では特に競争が激化しています。

しかも、WEBでの集客に関しては「資格が同じ=やっていることが同じ」と見られやすいため、差別化が難しく、価格だけで比較されるケースも多々あります。

結果的に

  • 他事務所の料金を見て安売り競争に巻き込まれる
  • サイトの内容やデザインが似通い、埋もれてしまう
  • 広告を出しても「どこに頼んでも同じでしょ」とスルーされる

こうした事態を避けるには、専門分野を明確に絞る+価値の伝え方を工夫する必要があります。

緊急性が低く、ユーザーが“今すぐ動かない”

たとえば税務調査や交通事故などのように「今すぐ対応が必要」という類のトラブルとは違い、行政書士業務はユーザー側にとって「後回しにされやすい業務」が多いのが特徴です。

  • 相続 → 手続きしないまま何年も放置されることも
  • 建設業許可 → 必要性を理解しておらず、ギリギリで依頼
  • 外国人ビザ → 自分でやろうとして難しくなってから相談

このため、潜在顧客の“教育”が不可欠になります。

ブログやコラム、Q&Aなどを通じて「なぜ早くやるべきか」「失敗するとどうなるか」をわかりやすく伝えることで、見込み客の意識を変え、問い合わせにつなげる必要があります。

売り込みがしづらい“士業特有の制限”

行政書士を含む士業は、広告に一定の制限があります。

  • 誇大広告の禁止
  • 誤解を招く表現の回避
  • 成果を保証するような言い回しの制限

これにより、他業界のような「業界No.1!」「完全成功保証!」「絶対に安心!」という訴求ができません。つまり、「強い言葉で引きつけて問い合わせを増やす」という手法が使いにくいのです。

その分、丁寧な説明と信頼構築型のライティングが重要になります。誠実さや実績、口コミ、専門知識の蓄積など、“間接的な信頼の裏付け”を用いたマーケティング設計が求められます。

ホームページを「作っただけ」で止まってしまう

実際の現場でよくある失敗が、「事務所紹介+業務案内だけの名刺型サイト」で終わってしまうケース。

そのようなサイトでは、以下のような問題が生じます:

  • SEOに弱く検索に出てこない
  • ユーザーの疑問に答える情報がない
  • 問い合わせしたくなる動線がない
  • 競合サイトと見比べたときに埋もれる

また、「無料ツール」や「格安パッケージ」などで作っただけで、更新されていないサイトもよく見かけます。

WEB集客は“育てる”もの。
作ったあとに育てていく(=改善・更新・発信を継続)意識がなければ、成果はついてきません。

成果が出るまでに時間がかかる

SEOやコンテンツマーケティングは、即効性のある広告と違って、成果が出るまでに3ヶ月~1年かかるのが普通です。

たとえば、以下のような行動をコツコツ続けていく必要があります:

  • ブログやコラムの定期更新
  • 内部リンクや構成の改善
  • Googleアナリティクスで分析&改善
  • SNSやGoogleビジネスプロフィールとの連携

この「継続力」を持てるかどうかが、大きな分かれ道になります。

行政書士だからこそ「中長期戦略」で勝てる

行政書士業務のWEB集客が難しいのは事実ですが、だからこそ他が諦めている分、差をつけやすいとも言えます。

成功のポイントは以下の3つ

  • 専門分野を絞り込む(誰に・何を届けたいかを明確に)
  • 信頼を勝ち取るコンテンツ発信を続ける
  • 短期ではなく“育てる”視点でWEBを考える

例えば、ウィルホープ行政書士事務所では、開業前から10か月かけてサイトを育て、ようやく月20件の問い合わせが来るようになりました。 1か月あたり100〜150時間をかけて戦略的に構築・発信していた結果です。

成果が出るまでに時間はかかりますが、正しい道筋を描けば、WEBは最強の資産になります。

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