
令和6年度の行政書士試験の合格率は10%程度と難関国家資格の1つといえます。行政書士に合格するために数年勉強した方もいるでしょう。私は4年勉強した後、合格した時はかなりうれしかったのを今でも覚えています。
しかし、この資格を取得して終わりではありません。独立する方もいれば、行政書士事務所・行政書士法人に入社する方もいるでしょう。もっと難易度の高い資格に挑む方や企業の法務部に転職する方等様々な選択肢があると思います。
私は行政書士試験に合格前から行政書士法人に努めていたので、その経験も踏まえて行政書士事務所への就職についてご紹介させていただきます。
行政書士事務所への就職の難易度は高いのか?
まず、一般的な企業への就職に比べて求人がかなり少ないです。その理由は行政書士業界の規模に関わっており、まず売り上げが500万円未満の行政書士事務所が全体の約8割といわれています。1000万以上の売り上げを出している行政書士事務所は全体のなんと1割に満たないというデータもあります。
そのように、500万~1000万円の売り上げがない事務所に人を雇うだけの資金力があるでしょうか?もしかしたら、行政書士自身の生活をするだけでも手一杯かもしれません、
したがって、行政書士事務所の求人が出ていれば、採用される可能性はもちろんありますが、そもそも求人が出ていない可能性の方が高いのです。
ちなみに、私は大手税理士法人の行政書士部門(行政書士法人)に採用された時の年齢が24歳でしたので、もしかしたら年齢という基準もあるかもしれません。
行政書士事務所へ就職するパターン
行政書士事務所へ就職するパターンは大きく3つに分かれます。
- 使用人行政書士として就職する
- 補助者として就職する
- アルバイトとして就職する
それぞれ、詳しく紹介していきます。
使用人行政書士として就職する
この「使用人行政書士」という言葉はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが使用人行政書士とは、「行政書士登録をした者で、行政書士事務所に雇用されて働いている人」ということです。
使用人行政書士は「行政書士」登録が必要であり、行政書士証票やバッジなどを身につけることができます。また、雇用されていますので、ほとんどの場合、固定給があり、一定の収入を得ることができます。
行政書士登録をするには登録費用が20万円~30万円必要です。就職先によっては、登録費用や年会費を自分で払う必要もあるかもしれません。私は、行政書士法人で勤めていた時は条件を満たせば会社負担で個人行政書士事務所で勤めていた時は自分負担という状況でした。
補助者として就職する
「補助者」として行政書士事務所に就職するという選択肢もあります。使用人行政書士との最大の違いは「行政書士登録をしていないか」です。
使用人行政書士はあくまでも「行政書士」ですので、行政書士登録自体はしているのですが、補助者は行政書士登録をしていません。補助者は確かに行政書士ではないのですが、それでも行政書士が補助者を採用する場合は行政書士会に届出をする必要がありますので、補助者も一定の身分を持った者と言えるでしょう。
また、一般的なパート又はアルバイトとして採用された場合に比べて、補助者はより行政書士実務の現場に近いところで仕事をすることができます。申請書類を作成したり、申請窓口に行ったりするなど、実務経験をすることが多いのではないかと思います。
私は行政書士補助者として、建設業許可申請を約200社程度対応することができ、大きな財産となっています。
アルバイトとして就職する
行政書士事務所のアルバイトとして就職するという選択肢もあります。これは、一般的なパート又はアルバイトの形態とほとんど同じで、就職先が行政書士事務所というだけの違いです。
私が所属していた時の行政書士法人・個人行政書士事務所のアルバイトさんは基本的に在庫整理や行政書士のスケジュール管理をしていました。
実務経験を積みたいという理由で行政書士事務所を探している場合はあまりオススメできないです。
まとめ
今回は行政書士事務所への就職についてご紹介させていただきました。行政書士試験に合格し、どのような目標を達成したいかによって、就職する形態は違うと思います。
私は行政書士試験の合格前から行政書士として独立するために行政書士法人に就職したため、「実務経験を得る」ことが目的で就職しました。そのため、お客様からの相談業務から許可申請まで対応できることが必須でした。
自身の目的に合わせて就職を行うのが良いかと思います!もし、専門分野が決まっているのであれば、その業界に就職するのも一つの方法です。(外国人の在留資格申請を行いたいのであれば、外国人雇用の多い企業の人事部に入社する等)