開業したら、名刺代わりにホームページを作るのが常識。
「いまはネットの時代。とりあえずあった方がいいよね。」
そんな軽い気持ちで作ったホームページに、実は重大な落とし穴があるとしたら――?
「とにかく作った。でも、全然問い合わせが来ない…」
「アクセス解析を見ても人が来ている気配すらない…」
このように“公開しただけ”では反応がないという現実に直面して、焦りを感じている行政書士の方も多いのではないでしょうか。
実は、ホームページからの集客がうまくいかないのには、共通した“原因”と“構造的な問題”があります。
今回はその具体的な理由を5つの観点から深掘りし、改善のヒントを実務ベースでお伝えします。
「誰に向けたサイトか」が曖昧なまま作っている

▶「行政書士の仕事を並べただけ」の構成では、誰の心にも刺さらない
多くのホームページでは、「業務一覧+プロフィール」だけを載せて終わっているケースが多いです。たしかに、何をやっている人かはわかりますが、それだけでは訪問者に“自分ごと”として響かないのです。
たとえば、以下のような例はありませんか?
訪問者は、自分の悩みに対して「この人に頼めば解決してくれそうだ」と思えた時に初めて、問い合わせ行動に移ります。
SEO対策がされておらず、誰にも見つけられていない

▶ そもそも検索結果に表示されていないなら、存在しないのと同じ
「SEO? よくわからないし、誰かが見てくれるでしょ」
そう思っていたら要注意。SEO(検索エンジン最適化)を施していないサイトは、誰の検索結果にも表示されません。
Google検索で表示されなければ、SNSで拡散しない限りアクセスはゼロのまま。行政書士がよく狙うキーワードは、たとえばこんな感じです―
しかし、こうしたキーワードで**1ページ目に表示されるためには、**ある程度のSEO設計とページの積み上げが必要になります。
コンテンツが薄く、信頼感を得られない
▶ サイトを見ても「何が得意なのか」「どこまで対応してくれるのか」がわからない
Googleの検索エンジンは今、「専門性」「信頼性」「実績」を重視するようになっています。つまり、ただ「業務紹介」を並べただけでは、上位に表示されませんし、見たユーザーも「よくある行政書士サイトだな」とスルーしてしまいます。
「コンテンツ」とは、以下のような“情報資産”のことです。
こうした情報を蓄積することで、サイトは信頼性と専門性を増し、「この人なら任せられる」と思ってもらえるようになります。
お問い合わせへの導線が不明瞭 or ハードルが高い
▶「このサイト、なんか問い合わせづらい…」と思われてしまっていないか?
以下のようなケースは、問い合わせを“損している”可能性が高いです。
信頼性と安心感は、問い合わせ率を大きく左右します。
ユーザーは「まず話を聞いてもらえるかどうか」を気にしています。“相談してもいい空気感”を作るのが重要です。
戦略もスケジュールもない「なんとなく制作」
▶「知人に頼んで作ってもらった」「とりあえず作成サービスに登録」──戦略ゼロでは、育たない
行政書士は士業であり、専門性と信頼性が求められるビジネスです。なのに、ホームページに「戦略」がなければ、時間をかけても“成果ゼロ”のデジタル名刺になってしまいます。
また、ホームページは育ててこそ成果が出るツールです。初期から「月1記事更新しよう」「3カ月後にSEO対策を再構築しよう」など、計画を立てておくべきです。
【参考】ウィルホープ行政書士事務所の場合
ウィルホープ行政書士事務所では、開業10カ月前からホームページ戦略に着手し、公開から月20件の問い合わせが来るまでに10カ月かかりました。
その間、月に100〜150時間ほどの時間をかけて、記事作成、改善、分析を繰り返しています。
初めから「成果はすぐには出ない」という前提で1年計画を立てていたため、比較的早く軌道に乗りましたが、独立後にゼロから着手するとさらに時間がかかることは間違いありません。
「お金は節約できても、時間コストは重い」——この現実を意識しておくことが、成功への第一歩です。
まとめ:ホームページは“資産”に育てていくもの
開業後、ホームページから問い合わせが来ないのは「失敗」ではありません。
それは、まだ「スタート地点」に立っただけの状態です。
重要なのは、「誰に」「何を」「どう伝えるか」という戦略を持って、コツコツと改善と情報発信を重ねていくこと。
そして、検索に強い構造と、訪問者が安心して相談できる導線設計を構築することです。
時間はかかります。ですが、地道に続ければ確実に“問い合わせを生む営業ツール”へと進化します。
「とりあえず作っただけ」のホームページでは、これからの時代は通用しません。いまからでも遅くはありません。“戦略を持った育て方”を始めてみてください。